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「片手間の自由診療」は捨てた。20年間連続赤字なしの医師が語る“クリニック経営の本質”

倒産件数が過去最多水準となり、「4割が赤字転落」と言われる医療業界。
多くのクリニックが生き残りをかけて「DX化」や「自由診療(美容医療)」に活路を見出そうとしています。
しかし、「流行りの機械を入れれば勝てる」ほど、経営は甘くありませんでした。

今回は、20年にわたり黒字経営を続ける久保田先生に独占インタビュー。 独自の「アナログ戦略」で地域医療を支える先生ですが、その裏には「流行に乗って高額な機械を導入し、撤退した」という痛い失敗経験がありました。

  • なぜ、「シミ取りレーザー」をやめたのか?
  • なぜ、DX全盛時代に「オンライン診療」を導入しないのか?
  • そして、高額投資の末にたどり着いた「本当に儲かる入り口」とは?

「片手間の美容医療は割に合わない 」と語るベテラン医師が、成功と失敗の両面から導き出した「クリニックの生存戦略」に迫ります。

目次

  1. プロフィール
  2. 「片手間の美容」は割に合わない。レーザー治療から撤退した理由
  3. 「350万、700万…」医療機器の維持費とどう向き合うか
  4. 「患者さんの声」から生まれた、低リスクな差別化
  5. 「効率」よりも「体験」:一度検討したオンライン診療を捨てた理由
  6. 「スキル」より「人柄」:信頼を作る組織の基本
  7. 【編集後記】「利益」と「本質」のバランスを見極める
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プロフィール

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院長 久保田 敏彦 先生
静岡県富士市にて久保田内科クリニック(https://kubota-naika.net/index.html)を開業し24年目。 最新のITツールや派手な広告に頼らず、「患者さんへの親身な対応」と「スタッフの人柄」を大切にすることで、20年間連続で黒字経営を継続。地域に根ざした堅実なクリニック運営を行っている。

1. 「片手間の美容」は割に合わない。レーザー治療から撤退した理由

── 先生は現在、美容医療には慎重な姿勢ですが、過去には導入されたこともあるとか。

久保田先生: ええ。以前、「シミ取りのレーザー」などが流行り始めた頃、面白いなと思って機械を導入してみたことがありました。 でも、やってみてすぐに「これは割に合わない」と気づき、撤退しました。

── どのあたりが「割に合わない」と感じたのでしょうか?

久保田先生: コストと手間のバランスですね。 機械自体の値段も高いですが、施術をするには人間が張り付いていないといけません。妻にやってもらったりもしましたが、人件費や手間を考えると、美容エステよりも高い料金設定にしないと採算が取れないんです。

── エステとの価格競争になってしまうと。

久保田先生: そうです。それに、1日に1人か2人来るかどうかの美容患者さんのために、スタッフや場所を拘束するのは非効率です。 「これなら、通常の診察で患者さんを一人しっかり診たほうがよっぽどいい」と気づきました。 片手間でやるくらいなら、本業の診察に集中すべきだと判断しました。

2. 「350万、700万…」医療機器の維持費とどう向き合うか

── 確かに、機械は導入して終わりではありませんよね。

久保田先生: その通りです。医療機器の維持費は馬鹿になりません。 例えば内視鏡の機械ですが、スコープを2本買い替えるだけでも350万円、700万円といった金額が飛びます。そこに修理代などのメンテナンスコストもかかってくる。

── 非常に高額ですね。

久保田先生: だからこそ、「機械を入れれば儲かる」と安易に考えるのは危険です。 稼働率の低い機械を抱えることは、経営において大きなリスクになります。 私はその経験から、無理に流行りの高額機器を入れるのではなく、必要なものに投資を絞り、その分しっかり患者さんを診るというスタイルに落ち着きました。

3. 「患者さんの声」から生まれた、低リスクな差別化

── 機械への投資を抑える一方で、集患のために工夫されたことはありますか?

久保田先生: 機械が不要で、かつ患者さんのニーズがあるものを取り入れました。それがプラセンタ注射などのメニューです。 きっかけは、ある患者さんから「スポーツ選手は疲労回復のためにビタミン注射をする」と聞いたことでした。

── 患者さんのリアルな声を拾い上げたんですね。

久保田先生: ええ。調べてみると近隣でやっているクリニックはありませんでした。 実際に始めてみると、それを聞きつけた患者さんが来てくれるようになり、結果としてクリニックの経営を支える柱の一つになりました。 私の場合は、高額な機械ではなく、こうした「患者さんの声」に応える小さな工夫のほうが、結果としてうまくいきましたね。

4.「効率」よりも「体験」:一度検討したオンライン診療を捨てた理由

── 多くのクリニックがWeb問診やオンライン診療で「効率化」を目指す中、先生はあえて導入を見送ったと伺いました。

久保田先生:
ええ。実は昔、オンライン診療の導入を検討したことはあるんです。
でも、最終的に「やっぱりやめよう」という結論に至りました。

── 一度は検討されたんですね。なぜやめたのですか?

久保田先生:
私の性分として、画面越しではなく「患者さん一人ひとりを直接診て、話を聞く」ことこそが、地域の開業医の価値だという結論に至ったからです。
昔のように「数をこなして回す」診療スタイルは、今の時代、患者さんに選ばれません。 患者さんが求めているのは、流れ作業のような診察ではなく、「自分の話を親身に聞いてくれた」という納得感のある診療体験です。

これを提供できているからこそ、結果として患者さんが離れず、リピートにつながっているのだと思います。

5. 「スキル」より「人柄」:信頼を作る組織の基本

── 最後に、組織づくりで大切にされていることを教えてください。

久保田先生: 私がスタッフ採用で重視しているのは、学歴や特殊なスキルではありません。 「挨拶がきちんとできるか」、そして「人に優しく接することができるか」。この2点だけです。

クリニックに来る方は不安を抱えています。 そんな時に、いくら最新の機械があっても、スタッフの対応が冷たければ患者さんは離れてしまいます。 当たり前のことを徹底できる人を採用し、患者さんに優しく接する。 それが「あそこなら安心」という信頼になり、24年間の黒字経営を支えているのだと思います。

【編集後記】「利益」と「本質」のバランスを見極める

久保田先生の強さは、「損益分岐点のシビアな判断」にあります。 「美容医療=儲かる」というイメージに流されず、自院のリソース(人・金・時間)と照らし合わせ、「割に合わない」と即断して撤退できる決断力。 そして、浮いたリソースを「患者との対話」という医療の本質に振り向けたこと。

これが、変化の激しい時代でも生き残れるクリニックの条件なのかもしれません。

しかし、多くのクリニックでは、高額なリース料や維持費に圧迫され、後戻りできない状態に陥ってから相談に来られるケースが後を絶ちません。 あなたの医院の収益構造は、本当に健全でしょうか?

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